シャモニクラブ 個人山行記録

ツェルマットの一週間 6月26日出国〜7月3日帰国

山川三千雄


ヨーロッパ往復分のマイルが貯まったので、スイスの最高峰モンテローザを目指してツェルマットに向かった。現地で国際山岳ガイドの近藤謙司氏と落ち合うべく単身成田を発ったが、異変は機中で始まった。左膝が熱と痛みを伴って腫れ始め、ジュネーブで一夜を過ごすと歩行困難の状態となる。痛み止めの座薬を入れて何とかツェルマットに着き、病院で診察を受ける。心配したエコノミークラス症候群ではなかったが、炎症を抑える薬を貰い、二日間の安静を指示される。

 小康後、グレッシャー・ゴルシュのビアフェラータで試運転を試みる。同行は近藤氏とトレッキングガイドのN嬢。空中懸垂、チロリアンブリッジ、振り子横断など変化に富むスリリングなコースに痛みを忘れる。

グレッシャー・ゴルシュ

 到着以来連日の晴天続き。膝が曲げられる程に腫れは引いたが、ロングコースのモンテローザは断念し、「最も楽に登れる4,000m峰」ブライトホルンの一般ルートを近藤氏と登る。クラインマッターホルンのロープウェー駅から平坦なプラトーを経て南面の雪の斜面を登り、1時間35分で頂上(4,164m)着。展望を満喫し、中央峰とのコルまで雪稜を辿ってクラインマッターホルン駅へ1時間20分で下山。左足はかなりむくんだが、ビールが美味い。

ブライトホルン

 滞在最終日、リッフェルホルン南壁に誘われる。ゴルナー氷河から2,927mの山頂へ一気に500mの高差で聳えている岩壁だ。登山電車のローテンボーデン駅から南へ回り込みながら下降し、壁の中央付近から'Egg'ルートに取りつく。7ピッチのカンテラインで、岩はあくまでも硬く爽快なクライミングを楽しむ。近藤氏は核心部のハング以外ノー・ビレーでぐんぐんリードして行く。終了点は頂上。三回の懸垂を交えて北面を下降し、ローテンボーデン駅に戻る。満足度高く、今日のビールは格別に美味い。

リッフェルホルン南壁リッフェルホルン南壁核心部


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