シャモニクラブ 山行記録

谷川岳(2)

日時:(前夜発)10月9日〜10日

参加者:冨田、笹川、柴崎、長嶌(写真+感想)

この記録は、一ノ倉沢南稜〜谷川岳(1)の続きとして、新人会員長嶌の初めての谷川岳の登攀の感想と写真、リーダー冨田のコメントをまとめたものです。

コメント:冨田
 一年4カ月ぶりにクライミング本番復帰!
シャモニクラブの新人2名を加えて紅葉の谷川岳一の倉沢南稜ルートを登攀し、普通のクライマー?が登らない、終了点から岩場、草つきのミックス壁を登り笹をかき分け、長嶌さんの平泳ぎみたい!という表現になるほど、と感心しながら岩尾根を攀り一の倉岳に登頂。リッジの紅葉、見事な岩壁のパノラマ、霧の出てきた縦走路からはブロッケン現象もみられ、至れりつくせり。なぜ、多くのクライマーがこの素晴らしさを体感することなく、核心部のみで降りてしまうの?だろう?

疲れた体を自分を鼓舞しながら尾根をたどり谷川岳を越えて肩の小屋に着き、久しぶりに山頂泊りの贅沢をした。疲れ、もう1年は山はいいや!長嶌女史も朝日に輝く山並みに大満足!

10/9 ひょんぐりの滝の巻き道からの下降、笹川と冨田本谷下部
柴崎

感想:長嶌
10月8日、土曜に冨田さん、柴崎さんと3人で谷川の登山指導センターへ入りました。(冨田さん、いつも運転ありがとうございます)蕨16時集合で、途中、夕飯を食べてセンター到着は20時ちょっと前でした。既に、10人くらい?の人たちが、寝る支度をしていた所でした。
8時には電気が消えるとの事だったので、私たちも急いでシュラフを出したり、慌ただしく就寝準備をしました。その後、みんなが寝入った頃、笹川さんがセンターに到着したようです。

冨田さんから、「3時起き」を指示されていたので、柴崎さんと私はきっちり3時起床。冨田さんがなかなか起きてこないので「いいのかなぁ」と思いながら、しばらく二人で朝ゴハンを食べたりわざとガサガサ音を立てたり。。(後で、冨田さんに、「うるさいなぁと思ってた」と言われました(笑))

出発は4時頃だったのでしょうか? まだ真っ暗な中、ヘッドランプを付けて、出合いまで歩きました。途中、別のパーティが追い越すように「今日はどちらですか?」と聞いてきました。「南稜です」と言うと、「そうですか」との返事。そのまま通り過ぎようとするので「どちらですか?」と聞き返すと、同じく「南稜です」と言っていました。 (後で、このパーティは、私たちの次を登ってきました)
出合いに着いてトイレを済ませ、いよいよ出発です。が、まだ暗くてどんな状況かよくわかりませんでした。笹川さんが先頭で歩きはじめ、私は冨田さんにリードして頂き一番後ろに柴崎さんでした。笹川さんに 「前後ガイド付きでVIP待遇だよ」と言われ「本当に! いいんでしょうか? 恵まれ過ぎです!」なんとか遅れないように、滑らないように、緊張しっぱなしで歩いていると「ここを下りる」と(言われ、びっくり)! ヒョングリの滝って言うんですか? ここで既に「なんて所へ来てしまったんだ!」「早まってしまった!谷川なんて、まだまだだったんだ」と頭の中がぐるぐる状態。

笹川さん、柴崎さんに続き、私の番になりました。実際に下りはじめると、思うように下りられず、みんなが待つ所へ行けません。尻もちを思いっきり突いてしまい、「イタタタ!!」最初のド緊張の場面でした。(明るくなって、周りが見え始め、どんなところか分かってきたので、ここが一番怖かったかも) その後も、「ここアプローチって言うんですか?これ、岩登りじゃないですか?」の所を冨田さんにずっと付いてもらって、なんとか歩いていました。どこをどうやって歩いていたのか、全く記憶がありません...
そうこうしているうちに、南稜テラス到着。そこから見るまわりの岩壁は、ものすごく恐ろしく見えました。冨田さんに、たくさん説明して頂きました。聞きながら、遠近感のない回りの景色を「へぇーー!」と聞くだけで精いっぱいです。とんでもない所へ来てしまった!

後続を確保する冨田リードする笹川

  南稜には既に1パーティ、取りついていました。私たちは2番目。。(だったと思います) ここからも、終始冨田さんに指導してもらいながらの登攀。事前にルート図をもらっていたので、それを見ながらですが実際にどんな岩だったのか、あまり覚えていません。 馬の背リッジが一番面白かったですかね。。最後のところは、思いっきりクイックドローを掴んで、、、「終わったー!」でした。終了点で少し休憩して、食事を取りました。

滝沢スラブとドームを望む最終ピッチ?を登る柴崎

 そこから、「安全ルートを行く」との事で、頂上へ向かうと決まりました。内心、「良かった〜、安全ルートだ!!」と喜んでいたのですが.... 「ここ、安全ルートですか?? まだ南稜、終わってないじゃないですか!!」
終了点から頂上へ抜けるまでは、今度は笹川さんにずっとフォローして頂きました。今思えば、すごく楽しいルートだったと思います。だけど、あの時は、「やっと岩登りが終わったと思ったのに、岩、どこまで続くの??」で頭が真っ白。必死です。
何がなんだかよくわからない状態で、滑らないように歩く事で頭がいっぱいです。あとちょっとと言う所で、笹川さんに「休憩お願します..」とお願いしました。柴崎さんと冨田さんは、ずっと先を行ってしまって、姿は見えません。途中で、「写真撮るよ〜」と向かい側から声が..あれ、、もうあんな所にいる..「私って体力無さすぎ」とちょっと落ち込み気味.. そして一般登山道へ出て、笹川さんに「着いたよ!」と言われ「やったーーーーーーー・・・」 終わった... でした。

紅葉するピナクル稜線に出る前に笹の海

冨田さんと柴崎さんは一ノ倉岳頂上へ行って来たようですが、私は「いいです...」 一ノ倉岳はスルーしてオキノ耳、トマノ耳へ。「早くコーラが飲みたい〜!」急いで小屋へ向かいました。その後肩の小屋で泊る事になり、ほっと一息です。(コーラはありませんでしたが)
笹川さんと柴崎さんは小屋へは泊らず、その後信じられないスピードで下りて行き、その日の内に下山。付いていってたら、どうなっていたことやら.. 泊りを決めて正解だったと思います。
翌日ロープウェイで下りると、下では笹川さんと柴崎さんが待っていてくれていました。冨田さんにはビール、私にはコーラが!ありがとうございます〜!!

 

その後、谷川岳山岳資料館へ寄り、冨田さんに色々説明して頂き、湯テルメへ寄って帰ってきました。
今回も、「も」ですが 本当に冨田さん、笹川さんにはお世話になりっぱなしでなんとお礼を言っていいか分かりません。
柴崎さんにもお世話になりました! やっぱり女子でないと..と言う事もありますので。
入会して、2ヶ月目で、まさか谷川岳へ行けるとは思ってもいませんでした。 行ったと言うより、「連れて行って頂いた」 ですが、こんな新人を終始フォローして頂きみなさんには本当に感謝の言葉しかありません。 稜線へ抜けた時は、「もう1年分の登山をしたのでしばらく休会させていただこうか..」なーんて、本気で思ったりしました。(笑)。

ですが、またやっぱり行ってみたいです! こんな機会を与えて頂き、冨田さん、笹川さん、柴崎さん、そしてシャモニクラブの皆さんに感謝申し上げます。そしてこれからもまた、ご指導よろしくお願い致します!

ブロッケン現象10/10 肩の小屋から万太郎、平標山への山稜


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